おいしい本が好き

本の中の食べ物はおいしそうに見える。

黄色い街、パリ 「げんきなマドレーヌ」と「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」

 

げんきなマドレーヌ (世界傑作絵本シリーズ)

げんきなマドレーヌ (世界傑作絵本シリーズ)

 

 

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる

 

完全に私のイメージなのだけれど、パリは黄色い街。

 

「げんきなマドレーヌ」は、黄色い。少女たちの帽子もコートも黄色いのだけれど、そもそも白い枠に黄色地、そこに墨一色で彼女たちの暮らしーパンを食べ、歯を磨き、降っても照っても2時半に散歩に出かけ、それを万事二列になって過ごすーは描かれている。その黄色はパリの陽だまりのように彼女たちを包み、それでもその下には暮らしがある。「むねのいたむこと」も、ある。

同じようにパリの空の下、暮らし、歌い、お料理をした石井好子さん。冒頭に描写されるオムレツの美味しそうなこと!オムレツをおいしく食べるコツは曰く「バタをたっぷりつかう」そして「できたてを食べる」こと。

母の作る「オムレツ」は薄焼き卵で野菜と挽肉を炒めたのを包むものだった。私はそれが大好きだったし、いまも懐かしい。小学校の給食で「黄色くて端の尖った楕円のオムレツ」…小さくて固いの、を知り、その後、兄と姉と父が愛読していた「美味しんぼ」にてふんわりと丸い、オムレツを知った。

そしてそう、「こまったさん」シリーズ!

 

こまったさんのオムレツ (おはなしりょうりきょうしつ (4))
 

 

 メレンゲと合わせるふわふわオムレツ、納豆のオムレツ! 

おいしいものが出てくる本は好きでも、料理が上手なわけではないので、私はオムレツが作れない。それらしきものをなんとかフライパンの中でまとめ上げるけれど、いびつだったり焼き色がついてしまったり。石井さんの描くようなオムレツが私の台所から誕生したことはいままでに一度もない。火加減?フライパンの動かし方?バタの量に思い切りが足りない?

奥深く、簡単にはいかない、いつか辿り着いてみたい憧れの理想のオムレツ。

お皿の上にこんもりと鎮座まします黄金のお山。

マドレーヌもパンと一緒にオムレツを食べたかしら。

 

ツタのからんだ古い屋敷にはマドレーヌが二列になってパンを食べていて、街中では石井さんがシャンソンを歌っている。舞台が終われば友人と一緒にグラティネ(オニオングラタンスープ!)を食べ、下宿ではロシア人のマダムが卵もバターもたっぷりのオムレツを焼いてくれる、私の中のパリはそういう街なんである。